【インドネシアNo.1】 バンドン工科大学学生ってこんな人
インドネシア理工系トップの学生について
留学開始から早くも半年が経ちました。これまで研究や授業、学内での様々なイベントなどに参加する中で、バンドン工科大学の学生がどれだけ優秀か感じるとともに、自分自身刺激を受ける場面が多々ありました。
そこで、普段は中々知る機会のない、東南アジア理工系トップの大学の学生がどんな人たちなのかトいう事について、授業の様子、英語力、コミュニケーション能力の3点について、以下にまとめてみました。
授業に対する積極性
こちらでの授業に対する生徒の積極性にはかなり刺激を受けました。一番驚いたのが、授業中に何人かの生徒が私語を始めると、それに対してほかの生徒が「シーっ」と言い合い私語をやめさせるんです。日本でそんな光景見たことありません。自分にはそんなことやる勇気もありません(笑)。しかしここでは当たり前のようにそれが行われ、授業に対し本気で取り組む風潮があります。もちろんそんな生徒たちですから、先生から質問が投げられると即座に反応します。なんなら先生が喋っている最中にも分からないことがあれば質問します。常に授業から新たな知識を得て自分のものにしようとする姿勢はトップ校ならではだと思います。
特にこちらの学生が優秀だなと思うのが、一度学習したことのある内容は、たとえそれが自分の専門外であって、何年か前に学習したものでもほとんど覚えています。自分の専門について全く違う分野の友達から質問された時、自分と対等な知識で会話をしてきたので、「何で分野全然違うのにそんなに知ってるの?」と聞くと、一回授業でやったことあるから~と当たり前のように返され、「そっか、、」としか言い返せませんでした。。積極的な授業への参加姿勢が知識を増やし、広い視野の形成に繋がっているようです。
授業でのグループディスカッション。めちゃめちゃ話聞いてくれます。
試験がやばい
こちらでは日本と同じように中間試験と期末試験があります。すでに中間試験を終えましたがこれがかなりやばいです。試験範囲となる資料の量が尋常じゃありません。具体的には50ページ以上あるみっちり字の書かれたパワーポイントが全部で30ファイル以上ありました。持ち込みもなしです。「いやこんなの全部目通して覚えられるわけないだろ。。。」とそうそうに見切りをつけた私は最低限必要そうな資料に絞り乗り切りました(笑)。しかし現地学生は2,3日くらいでその内容をすべて理解し、暗記してテストに臨んでいました。地頭が違うとはこの事かと身をもって思い知らされました。。(試験の際、開始と終了の合図もなく、終わった生徒から適当に席を外し、終了時間が過ぎても当たり前のように問題を解き続けている生徒がいるのを見たときは、ここでもインドネシアタイムかと少々驚きましたが笑)
非常に高い英語力
とにかくみんなめちゃくちゃ英語が喋れます。
ここへ来てから多くの学生と関わる機会がありましたが、英語を話せない学生に一人も出会ったことがありません。一人もです。例え留学を経験していなかったり、国外に出たことが無くてもです。しかも少し話せるというレベルではなく、ネイティブレベルに流暢な人も多く、日本の理工系大学とは全く異なる状況に圧倒されました。
というのもここでは英語で行われる授業が多く、卒論発表も英語で行わなければならない、さらには研究に使用する機器や分析方法についてのマニュアルもほとんど英語で書かれたものしかなく、生徒は当たり前のようにそれを読み、実験を行っている、といったように普段から英語に触れる機会がかなり多いです。この様な環境が英語力向上に大きく寄与しているようです。(もちろんずば抜けた地頭の良さも大きな理由の一つですが、、)
また、多くの学生が優れた英語力に加え、国内に留まっているのではなく、自国の成長のために、積極的に先進国の概念、技術を取り入れ、グローバルに活動していきたいという強いモチベーションを持っています。
国連が定めるSDGs (Sustainable Development goals) についての授業後集合写真をパシャリ。
ハイレベル過ぎた国際シンポジウムでの意見交換
ある日、オランダから来た研究者によるシンポジウムがキャンパスで開かれ、それに参加したことがありました。
内容としては、オランダにおける河川計画や水源保全といった、持続可能な水環境への取組についてでした。本来その内容について色々感想を述べることができればいいのですが、私は英語が早口かつ流暢すぎて、概要を理解するのが精いっぱいという非常に情けない状況でした。。しかしその一方で、現地学生はプレゼンテーターの凝ったジョークにも毎回笑って反応しているし、いきなりマイクを渡され意見を求められても何事もないようにスラスラ答えていました。そして質疑応答の時間には、プレゼンの内容に対する鋭い指摘や、紹介のあったオランダでの事例を踏まえ、今後どの様な取り組みを自国で行っていくべきかといったトピックについて積極的に意見交換を行うなど、目の前で繰り広げられる世界トップレベルの場を目の当たりにして唖然としました。しかも参加していた現地学生の多くがまだ2、3年生であることを知った時、非常に大きな差を感じるばかりでした。
国際シンポジウムの様子
修士号、博士号取得のために海外へ。教員を志す学生も多数
ここバンドン工科大学では、インドネシアNo1の理工系大学とはいえ、正直研究環境が整っているとは言えず、レベルの高い研究を行うのは難しいです。(別の機会に詳しく書きます)そのため優れた環境を求め、「より高度な研究を行い、その経験を自国の発展のために活かしたい」、「将来大学教員になりたい」という思いを抱える学生の多くが、日本を含めた世界各国へ修士号、博士号取得のため留学します。バンドン工科大学にはこのように海外で博士号を取得した教員が多数在籍しており、国際的なプロジェクトに取り組む方も多く、グローバルな校風の構築に寄与しています。
バンドン工科大学にて開かれた国際学会
ドイツ、マレーシア、タイ等様々な国から参加者が集まったサマープログラムの一幕(ちゃんと毎日授業もしました。)
外国人に対する高いコミュニケーション能力
これはバンドン工科大学の生徒に限った話ではありませんが、多民族国家であるインドネシアは、同じ国内でも非常に多様な文化、言語、人が混在する国であり、外部からきた人間を受け入れる器がかなり大きいように感じます。留学開始時から今まで、外部から来た私に対して、非常に多くの現地の学生が親切にサポートしてくれました。すれ違った際に「研究の調子はどう?」と気さくに聞いてくれたり、「じゃあな!」などアニメなどを通じ知っている日本語を使って話しかけてくれたりします。また、日本語以外にも韓国語、中国語、ドイツ語なども少しできる人も多く、留学生と接するときにそれらを巧みに使い、すぐに仲良くなる様子には驚きました。たとえ出会ってから間もないとしても、スッと懐に入ってくるような高いコミュニケーション能力は、グローバル社会において非常に大きな武器となるに違いありません。
このようにインドネシア理工系トップの大学では、グローバルに活躍するために十分な英語力、モチベーション、技術に関する知識に加え、外国人に対しても躊躇せず、すぐに仲良くなれる人懐っこい性格を併せ持った優秀な人材が溢れています。将来それぞれの分野のトップで活躍していくに違いありません。
また、このままではこの猛烈な勢いに日本が飲み込まれ、どんどん縮小していく道をたどることになるといった強い危機感も感じます。多くの刺激をもらえるこの環境で、少しでも多くのことを吸収できるよう、残りの留学生活も悔いのないように精進していこうと思う次第です。