インドネシア留学 ~持続可能な水環境を目指して~

将来、東南アジアを中心とした水環境保全に貢献するためにインドネシアで修行中です。

インドネシア留学を決意した3つの理由

 

インドネシアへ留学する理由

こんにちは。中央大学大学院 修士1年のオダシマです。

 

2017年4月から、インドネシア第三の都市と呼ばれるバンドンにある、バンドン工科大学 (https://www.itb.ac.id/)に研究、インターンを行うため留学しております。

また、本留学は文部科学省主催の、トビタテ! 留学JAPANというプログラムに採用して頂き実現しています。

 

www.tobitate.mext.go.jp

 

本ブログは、急激に発展するインドネシアの様子を、水処理や水マネジメントを専門とし、現地で実際に生活している私だからこそ発信できる水インフラ分野、生活や文化、人といった観点から紹介し、少しでも多くの人に水インフラやインドネシアに興味を持ってもらえたら、と思い開設しました。

 

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 (キャンパスにある噴水) 

 

インドネシアに留学!なんて言うと「珍しいね!」とか「なんで?」とか「めっちゃ凄いね!」と特別な人みたいに思われがちですが、かなりの凡人です。。サークルやバイトをしたり、旅行、飲み会を楽しんだりと、ごく普通の大学生活を送ってきました。(笑)

 

ただ自分でも本当によかったなと思うのは、大学生活の早い段階で、自分が将来やってみたいと思えるような分野を見つけたことです。

 

それが、「誰もが安心して水を自由に使える、持続可能な水環境の構築に貢献する」ことでした。

 

これを実現するための活動の一環として、2017年4月からインドネシアで留学生活を開始しました。

 

グローバルな水環境の構築に興味を持ったワケ

日本で普通に生活していると、蛇口をひねればいつでもきれいな水が当たり前のように使えます。そのため、多くの日本人の方は水環境について意識することはほとんどないかと思います。

しかし日本のように水資源が豊富で清潔な水がいつでも使える国は少なく、世界各国で水資源枯渇の危機や、上下水道整備の遅れによる環境汚染や健康被害など、水環境問題は最も大きな国際的課題となっています。

 

・・・・・・。。。

 

という話だけはニュースで目にしたり、講義で習ったりと認識はしていましたが、なんせ自分の置かれた環境とはかけ離れすぎているため全くイメージが湧きませんでした。(先生すいません。)

てなわけで、「ちょっと一回自分の目で確かめてみたい」と思い立ち、大学1年時に何となく ”マレーシア郊外の村での水道インフラ整備ボランティア” に参加しました。

 

 

ここでの2週間が自分の人生を大きく変えました。

 

東南アジアで感じた経済発展、しかしインフラは、、、

ボランティアのプログラムのため、マレーシアに訪れた際、初めに感じたのは、非常に上から目線で失礼ですが、「思ったより発展している」という印象でした。首都ではないコタキナバルという場所でしたが、日本と変わらないようなきれいなショッピングモールが立ち並び、高級ブランドが軒を連ねている様子は、東南アジアの経済発展を象徴するようでした。

 

しかし、その綺麗な建物の横では汚い水が未処理のまま垂れ流され、河川や海は見るからに汚れており、激しい異臭を放っていました。ピカピカのショッピングモールと大量の汚水のコントラストは自分にはかなり不気味に映りました。また、実際に、汚染された河川の水を生活用水として使わざるを得ずに、健康被害に苦しむ村民の生活状況を目の当たりにし、衝撃を受けました。

 

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(集落の水路にて、インドネシアも下水道普及率はまだ低い水準で未処理の汚水が直接放流されている場所が多くあります。)

 

このように著しい経済発展の一方で、上下水道整備の遅れにより、水道水にアクセスできなかったり、劣悪な水環境の中で生活することを強いられる住民がいらっしゃるのが、東南アジアをはじめとした途上国の現状です。

 

インフラ整備ボランティア活動は、郊外の村にて行ないました。実際にそこでは水洗ではないトイレ、泥水のような川での水浴びや洗濯など、日本のように水を自由に使えない生活を体験しました。とにかくこれがしんどかった、、、物的な豊かさよりも、人々の生活基盤である”水”の大切さを肌で感じた経験でした。

作業内容としては、いつでも清潔な水を使うために必要な貯水タンクの設置などを行いました。私はここで日本人、マレーシア人の学生からなるグループのリーダーとして作業を行いました。そこで経験した、「価値観の異なる人々をまとめあげ、水環境を改善したことにより、村民の生活水準の向上に寄与できた」ことが純粋にとても面白く、やりがいを感じたんです。

 

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(ボランティアメンバーとの集合写真)

 

この時から、「将来はこの分野でグローバルに活躍したい」と本気で思うようになりました。

 

目標実現に必要な”3つのスキル”を求めインドネシア

上記の経験から、明確な目標を持てたことは非常によかったのですが、そこで気づいたのは、

 

 

自分はその目標実現に必要なスキルを何も持っていないじゃん。。。

 

 

という現実でした。

持続可能な水環境構築、と口で言うのは簡単ですが、その実現には非常に高度なスキルを必要とします。私は大きく分けて3つのスキルが必要だと思っています。

 

 

まず、「専門知識」です。

水処理、と一言で言ってもそれには非常に多様な方式があり、効率的に処理を行うには、目標とする処理水質に合った処理方法を、現地の事情に合わせて組み合わせ、最適化する必要があります。そのためには様々な処理技術の複雑な仕組み、特徴を物理的、化学的、生物学的に理解していなければなりません。

 

 

次に、「ビジネス感覚」です。

持続可能な水環境構築のためには、ビジネスとして回すことのできる仕組みづくりだと考えています。もちろんボランティア活動なども重要ですが、永続的にボランティアとして支援し続けることには限界があるため、ビジネスとして成立する仕組みづくりに繋げることを前提とした現地での人材育成などが重要になってくるかと思います。

また、パリ協定により、世界各国が環境問題解決に向けより努力していくことが決定するなど、世の中の流れから見て、この先環境分野への投資はさらに伸びていくと考えられます。そうなると、今まで後回しにされていた水道インフラへの予算も増え、世界各国で整備が進められていくに違いありません。特に東南アジアなどGDP成長率の高い地域ですでにこの動きが見られています。

世界に誇れる日本の水処理に関連した技術や知見、仕組みを活かし、この流れに乗ることができれば、日本と相手国、両国のさらなる経済発展と各国の人々の生活水準向上に貢献できる勝機があると考えています。しかし現時点では、水処理分野における日本製品のシェアは非常に低い水準でとどまっています。この現状を、Made in Japanの水処理技術をそのまま導入するのではなく、現地の事情に最適化して受け渡すことで変えることができると信じています。

これを実現するには専門知識をベースとしたビジネス感覚が必須であると考えています。

 

 

最後に、「異文化コミュニケーション力」です。

世界で水環境改善に取り組むとなると、現地企業、政府、現地住民など、様々な立場、異なる価値観を持つ多くの方々と関わることになります。ここで言う異文化コミュニケーション力とは、相手方が本当に必要としているニーズをくみ取ること、上辺だけではない信頼関係を築くことです。これには語学力が必須なのはもちろんですが、相手が考えていることを異なる価値観、文化的背景を理解し読み解く力が大切であると思います。

これを身につけるには、実際に自分とは全く異なるバックグランドを持つ人々に囲まれて生活するしか方法がないと考えています。

 

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インドネシア人は人懐っこい人が多いです)

 

この3つのスキルを獲得するために、東南アジアの中でも特に著しい経済発展が進む、インドネシアのバンドン工科大学に約10か月留学することを決意しました。

 

具体的に行う活動として、

 

・バンドン工科大学にて東南アジアの温暖な気候に特化した資源生産型水処理システムの開発

 

・現地水処理企業、安全な水の普及活動を行うNGOでのインターンを通じたビジネススキルの獲得

 

・現地での生活にどっぷりつかり、異なる価値観を持つ方々と信頼関係を築くために必要な異文化コミュニケーション力の獲得

 

といった所です。長くなりましたが、これがインドネシアへ留学を決定した理由になります。

 

 

留学して2か月立ちましたが、うまくいくことよりも断然うまくいかないことの方が多いです。屋台の飯にあたり胃腸炎で一週間吐き続けたときは本気で帰ろうかと思いました。。すべて修行だと思って何とか踏ん張っております。(笑)

 

これからは現地での生活、水事情、感じたことなど時間のある時に発信していこうかと思っておりますので興味があれば見て頂けると嬉しいです!

 

では!